Университет Канадзава в Японии в научном издании опубликовал интервью профессора Игоря Трунова



Университет Канадзава в Японии в научном издании опубликовал интервью профессора Игоря Трунова в научном исследовании - юриспруденция и современные технологии в здравоохранении. Спасибо за плодотворное сотрудничество профессору Юрии Хибино, (Yuri Hibino), Department of Environmental and Preventive Medicine, Graduate school of Medical Science, Kanazawa University.

 

Interviewee: Prof. Igor Trunov

Prof. Igor: ロシアで代理出産が初めて行われたのは1995年でそれ以来、規制されている。

1998年から、自分のクライアントが代理出産のエージェントの仕事に携わるようになり、2010年の1月に、代理出産の子供が死亡した事件をきっかけに代理出産の案件にかかわるようになった。もともとの自分の専門は、刑法。

Q. ロシア政府は代理出産ツーリズムに対してどのような態度ですか?

Prof. Igor Trunov: 代理出産はロシアの法律によって規制されている。ロシア政府は代理出産ツーリズムを特に推奨しているわけではない。政府は、このビジネスに対してそれほど関心を持っていない。ただ禁止はされていないので、当然のごとくビジネスになってしまっているという感じ。代理出産にお金がかかるのは仕方がない。代理母は9ヶ月もの間妊娠するのだから。ロシアで代理出産を依頼するのは自国民が90%くらいで、外国人の依頼者は10-15%くらいだと思う。大金が払えるお金持ちの外国人がロシアでこのサービスを得るために来ている、という理解。代理母はロシア人の女性もいるが、もっと貧しい地域(例えばウクライナ、カザフスタン、ベラルーシなど)から来ている女性も多い。典型的なパターンとして、外国人(男性など)の依頼者、旧ソ連の国出身の代理母で行われる。ロシアは体外受精技術を売っているだけ。

Q. 代理出産に関するロシアの法律は?

Prof. Igor Trunov: それほど複雑ではない。Basics of protection of health of Russian citizensのarticle55がメインで、あとは健康省からの規定もある。一つの問題は、カップルと独身女性は代理出産を依頼できると書かれているが、独身男性については書かれていないと言うことだ。一種の差別だと言える。だから独身男性の場合は、裁判所へ行き、匿名の卵子提供を受けたと説明している(ロシアでは代理母の卵子を使用することは禁止されている)。その結果、子供の出生証明書には母親の欄が空欄となり、依頼した男性に親権が与えられる。もしカップルなら代理母の同意書があれば直ちに親権者となれるので裁判所にいく必要はない。この裁判には2ヶ月、全てのペーパーワークが終了するまで3ヶ月はかかる。これまでにロシアでそのような形で男性一人に親権が与えられたケースが200件ほどある。ロシアの法律では同性婚は認められていないが、上記のような手続きで、代理出産を依頼することはできる。ただ、依頼者がゲイかどうかなどは、個人のプライバシーに属することなので、尋ねることはない。お金を払いさえすれば、誰もそのことを聞かない。有能でハンサムなビジネスマンとか有名な人の中にもそのような人はたくさんいる。そういう人たちで代理出産で子供を作っている人もいるが、誰もあえてそのことを聞かない。

Q. 政府は、バンデミックに際して代理出産に対してどのように対応しましたか?

Prof. Igor Trunov: 代理母は数ヶ月前に妊娠していて、一旦妊娠したらストップできない。だからそれが問題になる。今も妊娠している代理母はいるので、彼女たちが出産したらどうなるのか考えなければならない。私が関与しているエージェントでは10人の代理母が出産間近になっている。彼女たちは、お金はもらえるのか? 子供が生まれたら、どうなるのか? と不安がっている。

代理母から生まれた子供は、知的障害者の施設に入れられている。なぜそのような措置になっているのか自分には全く理解できない。現在4人の子供がそのような施設で保護されている。それで私は、このことに対する訴えを起こしている。子供の親は外国人で、子供たちは外国の市民だ、なぜこのような措置になるのか。私が関与しているエージェントでは既に出産した10人の他に、15名の代理母が将来、出産を迎えることになっている。しかし、ロシア全土には他にもたくさんのエージェントがある。代理母から生まれた子供たちがどのような扱いを受けることになるのか、全くわからない。代理母になるのは貧しい女性で、お金のためにやっている。すでに自分の子供がいるので、代理出産の子供を手元に置くことには興味がない。だから、代理母から生まれた今後子供がどうなるのか、心配だ。

Q. バンデミック後はどうなりますか?

Prof. Igor Trunov: 現在、国境が封鎖されているので、代理出産ツーリズムは停止している。ただ、国内の市民は問題なく代理出産が依頼できる。子供が欲しいお金持ちの男女、特に高齢者はいくらでもいる。国内では問題なくビジネスは回っていくだろう。問題は、外国人の依頼者で、パンデミック前に代理母が妊娠したケースだ。国境が閉じて依頼者はロシアに入国できない。依頼者は大抵、最後に一番大きなお金を代理母に支払う。その理由は、代理母は出産後、子を放棄するための同意書を書く必要があるから(出産前にこのような同意書を交わすことは、ロシアでは違法)。今のような状況だと、代理母は支払いを受けることができない。依頼者は海外にいて、子供を引き取れるかどうかわからないのだから。それが代理母にとって大きな問題となっている。これらの子供たちをどうやって依頼者の子とするのか、大きな問題だ。

Q. 代理母の権利は守られていますか?

Prof. Igor Trunov: 代理母の権利について法律には何も規定されていない。権利はないも同然。依頼者がお金を払わないとき、いつも問題になる。お金はどうするのか、生まれた子供はどうなるのかと。依頼者は、病気か、高齢の人が多い(稀に、セレブの女性で、自分の容姿のために妊娠したくない人もいるが、そんなケースは滅多にない)。だから、依頼者が、代理出産の途中で死ぬこともありうる。その場合、代理母は守られない。お金を受け取ることができないし、子供は代理母が引き取るか、引き取らない場合、施設に送られるか、どちらかだ。代理出産は普通の妊娠出産よりも大変だし、1年ほどの拘束される大変な仕事だから代理母の権利は重要だ。

Q. 代理出産(商業的なものも含めて)に対する立場は?

Prof. Igor Trunov: ロシアの法律では、代理出産は子供を持てない人のための治療(treatment)だと考えられている。だから、禁止しなければならないという考えがあるのは理解できない。健康な女性で、自分で産めるのに代理母を依頼するというケースについては、議論しなければならないと思う。とはいえ、処罰されるほどのものではないと思う。何れにしてもそんなケースは滅多にないし、大きな問題ではない。

Q. 代理出産に対するネガティブなイメージはありますか?

Prof. Igor Trunov: 旧ソ連のような国々では、社会格差が激しいので問題になりうる。体外受精は高額なので、貧しい人はアクセスできない。ロシアの有名な歌手(Visotski)が「あなたがもし貧しければ、医療を受けずに墓場に行くことになる」と歌ったように、旧ソ連では、医療費は無料のはずだったが、実際にはお金を払わなければ治療を受けることができなかった。医療費無料のシステムは実質的に崩壊していた。だから資本主義経済に移行することになった。ロシアでは格差が広がっていて、路上生活者も大勢いる(NYのマンハッタンでも同じだと思うが)。そういう人で病気を抱えている人は多いが、治療を受けることはできない。

ロシア社会では、代理出産に関して特に強い意見は見られない。もちろん、教会は代理出産に対して反対しているが、それで禁止になる程の勢力はない。そんなに声が大きくはない。ただ、聞かれから、明確に「反対だ」と言うだけ。自分としては反対する人の考えがわからない。このような状況だが、パンデミックによって大きく変化するとは思えない。もともと外国人依頼者の数は少ないので、社会的影響が少ない。

Q. ロシアで生まれた外国人依頼者の子供はどうなりますか?

Prof. Igor Trunov: 国境が長く封鎖されているので、そのような子供たちはロシア全土にたくさんいると思う。ただ、何人いて、どこに収容されているかのデータはない。私は刑事事件として、この問題を扱っている。何人かの子供達が孤児院に入れられている。裁判所に行って、孤児院を訴えることになる。

しかし、私が扱っているケース以外にも同様のケースがたくさんあると思うが、裁判になっていないケースも含めて何件あるのか全くわからない。私の推測では100-200人もの子供達がこのような目に遭っていると思われる。Moscowだけでなく、St. Petersburgなどの都市にもたくさんのエージェントがある。そして中国からもたくさんの依頼者が来ている。彼らはモスクワには来ないが。国境近くのクリニックを利用していると思う。外国からのクライアントは、ウクライナやジョージアよりも技術が高いロシアを選んでやってきている。政府は、外国人依頼者の人数を把握しているが公表していないし、この問題に対して沈黙している。外国人依頼者はロシアにこれず、代理母には自分の子供がいるので、代理出産の子供のケアをするつもりはない、だから代理出産の子供たちが被害を被っている。私はこの問題に対して声を上げているが、誰も取り上げようとしない。子供たちが孤児院に収容されていることは大きな問題だ。この子供たちがどうなるのか、彼らの地位が不安定になっている。彼らは、ロシアの市民なのか、外国の市民なのか、わからない状態になっている。しかし、ロシア政府は沈黙したままだ。

Q. 人身売買の嫌疑について

Prof. Igor Trunov: 2020年の1月に代理出産で生まれた子供がアパートで死亡した事件をきっかけに、代理出産に関わった医師やエージェントらが、人身売買の嫌疑をかけられた。この事件に関する調査委員会が立ち上げられた(一応、政府からは独立した組織だが、もちろん大きな視点から見れば、政府のコントロール下にある)。そもそも依頼者は80歳の高齢者で手術で精子を取り出して受精させた。だから子供が死んだのは医師や代理母のせいではない。このケースは閉じたと思うが、委員会が調査を続けている。

Q. ロシア人エージェントが国際指名手配されましたね?

Prof. Igor Trunov: 彼は私のクライエントの一人で、現在海外に滞在している。バンデミックでロシアに戻れない。ロシアに戻って来たら人身売買の罪で収監される可能性がある。人身売買の罪で15年の禁固刑が言い渡される可能性がある。

Q. 知的障害者の施設に入れられた子供

パンデミックの影響で、入国できず、子どもが知的障害者の施設に入れられてしまったフィリピン依頼者の代理人も引き受けている。フィリピン人依頼者は有力な政治家で、上院の副議長をやっていて政党を率いている。彼の2人の子供が孤児院に入れられてしまった。色々な書類を準備したが、子供は7ヶ月も施設に置かれたままになっている。昨日、彼はロシア大統領に手紙を書いた。ロシアに行ってすぐにでもDNAテストを行い子供たちは夫婦の子供だと証明したいと主張するものだ。彼はあらゆる書類を揃えていて、どれも彼が父親だと証明するものだ。なぜ7ヶ月もの間、自分の子供が知的障害者の施設に入れられているのか、何が問題でこうなっているのかもわからない状態だ。彼としては、その子供たちが自分の子供ではない証拠が欲しいということだ。いまのところ何の返答もない。

ロシアのこの類の調査は、2-3年もかかることはザラ。7年以上かかったケースもある。調査の後で裁判所の聞き取りがある。それが2-3年。つまりそれらが全部終わったら、子供は7-10歳になっていることになる。

フィリピンとロシアは政治的にも近いし、両国の間に何も問題もない。だから大統領からの良い返事を期待している。

Q. 領事館はどのように反応していますか?

Prof. Igor Trunov: フィリピンの領事館と大使館に行ってミーティングを持った。状況を説明し、書類を見せた。彼らは、調査委員会と外務省に手紙を書いた。しかし、結果が得られていない。返事がなかったのだろう。それ以外の国の領事館などはこの問題を把握していないかもしれない。外国人依頼者で自分の国の領事館に代理出産を依頼したことを知らせる人はいないだろうから。この問題は、代理母から子供が生まれてから、子供の地位が確定するまで2-3ヶ月かかると言うことが一つの原因になっている。もし子供の国籍付与(外国またはロシア)の手続きが始まらなければ、子供たちは、国籍不明となってしまう。

Q. 今後、代理出産ツーリズムは禁止されるでしょうか?

Prof. Igor Trunov: 現在、微妙な状況にある。と言うのは、法律によって代理出産は認められているしビジネスも禁止されていない。しかしもし裁判で何らかの判決が出て、それが判例となってしまうと、状況が変わってしまう。法律とは別個にそのような判例が確立してしまう。今、調査委員会がやろうとしているのとそう言うことだ。法律と矛盾する判例が出来上がってしまうということ。そうなってしまうのを懸念している。法律家兼研究者である私の意見としては、まず法律を変えてから、今回の調査を進めるべきだというものだ。この逆は、ノーマルではない。これまでの代理出産は、法律に基づいて提供されて来たものだ、それなのに、現在7人の関係者が人身売買の罪に問われている。しかしなぜ人身売買だと言われるのか。依頼者のお金でサービスを依頼したのだから、それは依頼者の子供なのに。この委員会を牛耳っている人間を知っている。彼も自分と同じように法律家で研究者。刑法のこともよく知っている人物だ。

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